患者死亡で山本病院理事長ら逮捕 奈良、業過致死容疑で(産経新聞)

 奈良県大和郡山市の医療法人雄山会「山本病院」(廃止)で肝臓の手術を受けた男性患者=当時(51)=が死亡した事件で、奈良県警は6日、業務上過失致死の疑いで、執刀した法人理事長で医師の兵庫県西宮市、山本文夫容疑者(52)=詐欺罪で1審有罪、控訴=と、手術の助手を務めた同病院の元勤務医、塚本泰彦容疑者(54)=大阪府藤井寺市=を逮捕した。手術に加わった医師は肝臓手術の経験のない両容疑者だけで、県警は手術自体を回避する注意義務があったとみている。

 医療ミスに伴う事件・事故で、手術自体を回避すべきだったとされるのは極めて異例。

 2人の逮捕容疑は、平成18年6月、ともに肝臓手術の経験がないのに、肝臓外科の専門医や麻酔医も不在のまま男性患者の肝臓の一部の摘出手術を行い、肝静脈を損傷したうえ、輸血の準備や適切な止血措置を怠り、患者を大量出血で死亡させたとしている。

 捜査関係者によると、山本容疑者らは死亡した患者の腫瘍(しゅよう)をがんと診断、手術を実施したが、腫瘍は良性の肝臓血管腫で、もともと手術の必要がなかった疑いが浮上。県警は昨年9月、山本容疑者らが故意に不要な手術を行ったとみて、傷害致死容疑で両容疑者の関係先を家宅捜索した。

 しかし、山本容疑者が任意聴取に応じず、手術の必要性についての認識を調べることは困難とみて業務上過失致死容疑に切り替え、逮捕した。県警は今後も山本容疑者らが患者をがんと診断した経緯について調べる。

 山本容疑者は今年1月、生活保護を受給する入院患者に心臓カテーテル手術を行ったように装い、診療報酬計約830万円をだましとったとして一審奈良地裁で懲役2年6月の実刑判決を受け、控訴している。

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